Sunday, November 15, 2009

世界動向入門 103A: アフリカの今

taken from dambisamoyo.com


アフリカ情勢やヨーロッパの政治・経済に詳しい人はすでに知っていると思いますが,今年の春頃からの話を一つしようと思います.



アフリカからのエリート

僕は最近Dambisa Moyo (ダンビサ・モヨ)という女性のことを知りました.彼女は,ロンドン在住の経済学者でDead Aid (無駄な援助)」という本の著者.この本は,2009年の3月に出版されてすぐに New York Times Best Sellers に選ばれている.

クーリエジャポン2009年4月号によれば,「ダンビサ・モヨは,ザンビア生まれで30代.父は南アフリカ人の鉱山労働者の息子で,学者であり,反汚職運動家,母はインド・ザンビアン銀行の会長である.」とある.

彼女は,米国ワシントンD.C.にあるアメリカン大学で化学の学士号と財政学のMBAを所得,ハーバード大学で修士号,そしてオックスフォード大学で経済学の博士号を所得.その後,世界銀行で開発援助の仕事に2年間携わった後,世界最大級の名門投資銀行であるゴールドマンサックスで8年間グローバルエコノミストとして活躍した,という超エリートな経歴を持つ.


すいませんが関係者以外は・・・

その彼女が提言するのが「アフリカ援助不要論」.「欧米からの”施し”(ほどこし)は,百害あって一利なし」,であると.(英字の原文

要約すると,
「歴史や統計などを見ても明らか.援助すればするほど貧困度がひどくなってきている.なにかがおかしい.」「それは,欧米主導の支援が更なる汚職の原因になっていて,貧困や紛争地域の社会問題をより複雑にして,それが物価上昇につながり,その為現地の人による自立が損なわれている.結果として,状況が悪化していっている.」

アフリカの貧困撲滅キャンペーンをしている英国人ロックスターや米国人ハリウッドスターについて意見を聞かれた時,彼女はこう言っている,「マイケル・ジャクソンが信用危機の解決策についてアドバイスを始めたら,英国人はイライラするでしょう?歌手のエイミー・ワインハウスが不動産危機を終わらせる方法を語ったりしたら,米国人は怒り出すでしょう.アフリカ人だって,(専門家でない人にアドバイスされたら)むかつくのは当然だと思いませんか?」

おー,いい感じですね.僕はこういう風に物事はっきり言う人が大好きです.しかもこれは,欧米諸国が大きく権力をもつ「世界政治」の舞台で,アフリカ人による発言だし,今後の世界の世論の方向性としてかなり価値のあることだと思う.
(関連ブログ

「あー,アフリカは悲惨だ.飢餓だ,貧困だ,紛争だ,かわいそうだ.だから援助が必要だ.よしそうしてあげよう.」的な,今までの世界の常識をかなり覆している.これは,アフリカ出身の彼女が言っているところに,かなり意義があると思う.

そんな彼女は,今年の5月に Time Magazine の「世界で最も影響のある100人」に選ばれている. 



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