Sunday, November 7, 2010

ラテンアメリカ中級 45B : 陸路メヒコ出国


ラテンアメリカ中級 45B : 陸路メヒコ出国 <ヌエボラレド編>


2 回目にメヒコを陸路で出国したのは 2004 年夏。メヒコ・タマウリパス州のボーダータウン、ヌエボラレド (Nuevo Laredo) からアメリカ・テキサス州ラレド (Laredo) へ出国した時。ここは、リオ・グランデという川が国境になってる地点。


photograph taken from wikipedia


ボーダーまで

当時はアメリカの大学に所属しながら、スペイン語勉強とラテンアメリカ研究のフィールドワークを現地で実践してる時。ちょうど夏休みに入り、コスタリカを出てメヒコ経由でアメリカに一旦戻る、ってゆうタイミング。ってゆっても、アメリカにずーっとキープしてるアパートなんて無かったし、でかいトラベルバッグ転がしてバックパック背負って、って見た目はただの放浪者だったけどね。

とにかく、その夏はロンもマーシャもメヒコのグアダラハラにある実家に帰ってたし、彼らファミリーの家にステイさせてもらって、休みを満喫してた。食べ歩き、観光、散策、週末はバーベキューに夜はドレスアップしてパーティー。慣れないことばっかだったけど、その居心地のぎこちなさがモロ異文化体験でかなり楽しかった。ついでに歯医者にも通って、親知らず 4 本ともココで抜いたなあ。

週末はかなり頻繁に、ロンのお父さんが手掛けてた「ランチョ」と呼ばれる天然温泉付バケーションハウスまで出かけて、昼間からテキーラとマルガリータ飲んで、温泉プール入ってマッタリして、夕暮れを楽しんで、後はキャンドルライトと共にチルアウト。(今はちゃんと電気が通ってるよ)

で、いー加減 1 ヵ月以上滞在したし、そろそろアメリカ戻って次のセメスターの準備をしなきゃと、外人だしちゃんと書類のケアしとかないと、とアメリカに戻ることにして。時間はあるから、バスで行こうと決めた。メヒコの長距離バスは、日本の長距離バスかそれ以上の綺麗さと快適性があるしね。

で、バスに揺られやってきましたボーダータウン、ヌエボラレド。川を渡ればテキサス。


徒歩で越境

橋の手前のバスターミナルで降りて、荷物持ってテクテクと歩いて橋を渡り、おー見えてきましたアメリカ。国旗がアピールしてる国境警備最前線。この時はちゃんとパスポート持ってるし、ビザもあるし、何も問題ないぞ、と余裕の気持ちで入ってったよ、アメリカ側の国境検問所。

その小さい検問所では待ち時間もなく、入ってすぐにパスポートを出して、毅然とした態度の白人担当官から質問が始まって。外国入国の際のカスタムでのチェックは慣れてた、とゆう自負もあったし、大体聞いてくるのは、入国の目的、滞在期間、関税に申請するものあるかないか、とかでしょ。


嫌味なカスタム

ただ、俺が日本人でジャパニーズパスポート持ってて、アメリカの大学生のくせに学生ビザ持ってなくて
、でメヒコから陸路で入国しようとしてて、まあ、なんだコイツはと思ったんだろうね。
(アメリカ国内で週 20 時間以上クラスを取っていないと学生ビザを発行してもらえない。俺はアメリカの大学生だったけど、実際に住んでたのはコスタリカだったから学生ビザは持ってなかった)
そしたら、彼はしつこくいろいろ聞いてきた。

「なんでアメリカのカレッジの外人生徒なのにビザがないのか?」
「なんでコスタリカに住んでたのか?」
「なんでメヒコから陸路アメリカに入国するのか?」
「コスタリカで、メヒコで何をしてたのか?」
「アメリカで何をする予定なのか?」
「なぜその必要があるのか?」

とこれだけじゃないけどね。とにかくいやらしいトーンで聞いてくるわけですよ、彼は。そのうち俺も、ウザいし付き合うのに面倒臭くなってきて、その質問もうしたっしょ、と。で、はいそーですよ、いやそれはこーですよあーですよ、とちょっと適当に対応しだしてきて。そしたらその担当官、

「なんだ、どうした?急いでるのか?」
「急いでるも何も、質問に答えてるでしょ。」
「じゃあ、落ち着け。」
「オーケー、でも何回も同じ質問しないでね。」
「やっぱり急いでるのか。お前怪しいな。」
「何回も同じ質問したりして、こっちも嫌になるでしょ。」
「何だお前この野郎?」
「この野郎じゃねえっしょ?早く終わらせて俺のパスポートにスタンプくれ。」
「Hey you, stay right there!」
「・・・?」

そしたらすぐ横の扉が開いて、これまた力自慢が趣味っぽいマッチョな若い白人ボーダーパトロールの兄ちゃんがすごい形相で出てきて、俺をつかんだと思ったら、無理やりアメリカ側の部屋に連行してって。

「バシンバシン、ガツンガツン、ゴン!」

と、力ずくで関節技かけてきて、俺、気づいたら後ろから首根っこ掴まれて壁に顔面押しつけられ、両手は後ろ手にロックされ、両足はバシッと広げられ、身動きとれません、の状態。

よく、ハリウッド映画でポリスがストリートで捕まえた奴を、ポリスカーのボンネットに押しつけてるあの絵。数秒であの状態にされて。

そしたら、その若マッチョは俺をずっと壁に押さえつけたままボディーチェック。最初の担当官は、何やらヒステリックにわめきながら俺のキャリーバッグとバックパックの中身をがっさがっさ荒らしだして。これじゃどっちが強盗か分かりゃしない、のレベル、マジで。

「お前何か持ってるだろ!」
何も違法なものは持っていない。
「お前のその態度は絶対怪しい!」
「何も持ってないし、何もしてない。」
「え、何か持ってるに違いない!」
「だから、もう言ったでしょ。」
「どこに隠してるんだ!」
「もう 2 回も同じ質問に答えた。」
「このやろーこのやろー」

と、彼は俺の唯一の持ち物を全部床じゅうにぶちまけて。結局何も出てこなかったし、疲れたのか、テンション下がってきて、ようやく冷静に話しが出来る状態になって。若マッチョももういいと思ったのか「もう行っていいぞ」とか言って俺のこと解放して。いやあ、もういいぞって俺のセリフなのになあ、本当。


引っ掛かっちゃったイラつかせ作戦

まあ、結局しぶしぶその担当官は俺のパスポートにスタンプを押すという、基本的な彼のジョブをやっと行い、おれもスタンプさえもらえば後はバイバイ。むかついたけど、口論でもフィジカルでも戦ったらまず勝てない相手だし、意味ないしそんなのにエナジー使うの、と綺麗にパッキングし直して検問所を出た。

その後、アメリカ側のラレドからグレイハウンドに乗り込むまでは長かった。

あの時は、まじでアメリカの田舎白人は容赦しねえと思った。
差別的意識強過ぎなのか、偏見でイカレテルのか、テキサスのボーダーパトロールは。俺もかなりストレートだったけど、あれはやり過ぎでしょ。ワザといらつかせる作戦でまんまと乗っかっちゃったら、それ見ろとシメてくる。意味分かんねえね。付き合っちゃった俺がバカだった、と今は思えるけど。

とにかく 2001.911 以来、アメリカの入国審査は、表立って明らかに入国者をイラつかせる作戦に出てると思う。それワザとでしょ、ってくらい好戦的。ここ 3 年はアメリカに入国してないから現状は分からないけど。この時はモロそれに引っ掛かっちゃった感じ。今後は、もっと冷静に、心を落ち着けて対応したい。






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