Saturday, October 10, 2009

ラテンアメリカ 中級 201: リッチコースト,コスタリカ





以前の記事「Introduction Latin America 201」からの続きでお話します.プーラビーダの国,コスタリカ.Pura Vida = Pure Life = 純粋人生.んー,やっぱり面白い,ラテンアメリカ第三世界スタイル.それでは今回は,5年ほど前の出来事を元にしますが現地で見聞した輸出用作物のお話を社会勉強風にアレンジしてお届けします.




Intermediate Latin America 201: Rich Coast, Costa Rica





Global Banana: グローバルバナナ


コスタリカの様な第三世界にいると,日本から見たり聞いたりするグローバリゼーション国際社会に対する見方や考え方に変化が出てくる.それは「違った観点」で,複雑に絡み合った現実社会の色んな側面が見えてくるということ.今まで日本やアメリカ的な先進国からの観点でしか世界や社会のことを教わってなかったし,また自分もそうやってでしか見えてなかった.


例えばバナナ.我々先進国のスーパーで24/7売られている輸入品.コスタリカでもバナナは主な輸出用作物の一つとしてとして植民地時代から大規模に生産されていて,国として大きな収入を得ている.現在コスタリカでは,Del Monte,Chiquita,そして Dole といった,いわゆるバナナビッグ 3 などが主に大規模農園を所有していて,アメリカやヨーロッパの市場に供給している.バナナに限って言えば,日本市場とフィリピンや台湾の生産現場の構図に似ている.今の我々はこういった世界的な流通システムの恩恵を受けている.


そして,ところ変わってコスタリカの生産現場.歴史的・政治経済的なグローバリゼーションに起因する深刻な社会問題の一つ,土壌汚染や人体への直接的な健康問題や環境問題がある.その大きな原因となっているのは強力なsynthetic chemicals = 化学合物質.


これらはコスタリカ滞在中に学んだ.


私が訪れたのは,コスタリカ東部カリブ海に面する熱帯雨林を切り開いて開拓された,地平線いっぱいにまで広がる広大なバナナ農場.そこは前述の世界のバナナビッグ 3 の一つ, Dole の所有する土地.


バナナを育てる,収穫して運ぶ,“処置”して仕分けする,などの工程を見せてもらったが,そこで使用されるのが問題になっているのは,日本では一般的に「農薬」として総称される化学合成された各種のケミカル.要は,薄めた毒物だね,誰も原液を飲もうなんて思わないもんね.もちろん,これの売りつけも先進国の大企業主導で行われている.そもそも,この歴史的な大開拓を指揮したのはスペイン系白人クリスチャンたち.そして実際に労働に携わったのは,”輸入”されたアフリカ系黒人と移住してきた中国人たち.


ここでも,肌の色と社会構造の関連性が明らかに見える.


話は戻ってドールバナナ農園と近隣地域の環境・健康問題.肥料や殺虫剤そして防腐剤などが直接的な汚染源だが,その裏には多国籍企業の巨大な利権がある為,なかなか簡単には解決しそうにないのが現実.ケミカル使わなかったら利益が出なくなるシステムだからね.


労働者は,体調不良で仕事を休めばその分収入が無くなるし,診てくれる医者もいない.保険や労働組合が整備されていないため訴えることも十分に出来ない.更に,これらの負のスパイラルに巻き込まれるのはいつも決まって十分に教育を受けていない貧困層の為に社会的注目度は低く,あまり問題として表面化していない.


現地の人は弱り,土地は痩せ細り,多国籍外企業はガッツリ儲ける,という現実的な結果なっている.


我々先進国の人間には,「こういった犠牲の上に成り立っている社会」を実感しにくい.何が「便利」なのか「良い」のか,それはもうあなた個人の判断にゆだねられる.受動的に”彼ら”が教えてくることだけを信じていては,ただの時代の消費者として終わってしまうのではないだろうか?


ただ,日本には「知らぬが仏」ということわざが存在するほど,私も含めて多くの人が自分の利害に直接関係してなければ「見て見ぬ振りするカルチャー」がしっかりと定着している.まずは,「何」に対してどうやって問題提起して解決が必要ならどうやって取り組むか,そこからですよね.


結局,それぞれがそれぞれの足元,生活を見つめなおすところから始めないと.自問自答ですよね.


「で,俺は結局何をどうしたいんだ?」




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